平和を願う声、発信する万博に…俳優・タレント サヘル・ローズさん
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大阪・関西万博の開幕が13日に迫った。世界中の文化や未来社会の技術が集まる祭典に何を期待するのか。万博に関わる著名人に聞いた。

各地で紛争が続く中、多くの国が集い、文化や人が交わる万博は、平和へのメッセージを発信する大切な場になると期待しています。世界情勢が不安定だからこそ、みんなが明るい未来を思い描いてほしい。実際に大阪・
そんなふうに思うのは、1970年の大阪万博に関する、忘れられない思い出があるからです。
私がまだ来日して間もない、小学生の頃のこと。養母と一緒に訪れた大阪で、年配の女性が70年万博で撮影したという1枚の写真を見せてくれました。華やかな民族衣装をまとったイランの女性が写っており、女性は「本当にきれいでみんな優しく、イランが大好きになったのよ」と話しました。
女性は実際にイランの人と話し、文化を知って好きになってくれた。これは万博だからこそ、できたことでしょう。今回万博に行く人はぜひ、あまり知らない国や、マイナスのイメージを持つ国の展示を見てほしい。きっと、すてきな発見があるはずです。
私自身も、この機会にいくつかのイベントに出演し、平和について積極的に発信していきたいと考えています。
6月には私が制作した絵本の読み聞かせイベントに出る予定です。この絵本は、難民となってしまった子どもたちから私に届いた絵と手紙をもとに作りました。
イランは残念ながら今回、参加しません。過去の万博に参加していて、今回はいろんな事情で参加できなかった国があります。そういう国に住む子どもたちの声を、私が電波塔になって伝えたいと考えています。
「平和、平和」というと、押しつけだと感じる人もいると思います。でも、万博だと、華やかなパビリオンを見に来た子が絵本の読み聞かせにふと足を止めてくれるかもしれない。今まで関心の薄かった人たちの心に、どうしたらスイッチを入れられるか。万博ならではの挑戦だと思っています。
もう開幕がすぐそこに迫っていて、私自身もわくわくしています。イベントに出演する人たちはみんな、関心を持ってもらうための方法を真剣に考え、準備を進めています。ぜひたくさんの人に来てもらい、思いもよらなかった出会いを楽しんでほしい。そこで生まれる化学反応が、「いのち輝く未来社会」につながると思っています。(聞き手・苅田円)
サヘル・ローズ 1985年、イラン生まれ。イラン・イラク戦争のさなかに戦争孤児となり、テヘランの児童養護施設で育つ。7歳で養母に引き取られ、8歳の時に来日した。タレントとしてテレビに出演する傍ら、2024年までにイラクやシリアなど延べ11か国の難民キャンプなどを訪問し、支援している。
被爆前後の広島 VR体験
万博では、平和に関する様々な展示に触れることができる。国連は、1954年に日本から寄贈され、ニューヨークの国連本部にある「平和の鐘」のレプリカをパビリオンに展示する予定。来場者が鳴らし、平和を考える機会にしてもらう。
広島県は原爆忌に合わせ、8月5~9日にブースを出展。原爆投下前後の広島の街を疑似体験できるVR(仮想現実)の展示や、来場者が折り鶴を作ってSNSに投稿するコーナーを設ける。国連の定める「国際平和デー」の9月21日には、国内外の活動家によるスピーチやライブがある。
