「将来の妊娠」に備え、若い男女へのアドバイザーを国が養成へ…背景に高齢出産や過度なダイエット

スクラップ機能は読者会員限定です
(記事を保存)

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 こども家庭庁は、将来の妊娠に備えた「プレコンセプションケア(プレコン)」を若い男女に普及させるため、学校や企業などで助言するアドバイザーを養成する方針を固めた。若い世代に将来の妊娠に向けて必要な知識を身につけてもらい、健康管理を促す狙いがある。近く示す今後5年間のプレコン推進計画案に盛り込む。

プレコンセプションケアで扱う主なテーマ
プレコンセプションケアで扱う主なテーマ

 政府は2021年2月に成育医療等基本方針を閣議決定し、プレコンの推進を掲げた。22年度から自治体に「性と健康の相談センター」の設置を促し、保健師らが妊娠や性感染症などの相談に乗る取り組みを支援している。

 背景には、流産の可能性が高まる高齢出産の増加や、不妊の原因になる過度なダイエットの広がりがある。厚生労働省によると、晩婚化が進み、23年に35歳以上で第1子を出産した割合は21・6%と1970年の10倍に増加。BMI(体格指数)が低い痩せ形の20~30歳代女性も5人に1人(20・2%)に上った。

こども家庭庁
こども家庭庁

 一方、同庁が昨年、高校生から30歳代の男女2万人に行った意識調査では、「妊娠や出産に関わる身体的な情報」を学んだ経験を持つのは6%にとどまった。そのため同庁は、特に若年層を対象に、プレコンに関する普及・啓発を強化する必要があると判断した。

 アドバイザーは、一定の研修を修了した教諭や保健師らを想定している。性行為や避妊といった未成年に多い疑問から、不妊症など妊娠を現実的に考える世代特有の悩みまで幅広い知識を研修で身につけさせ、学校での出前講座や企業での研修などでアドバイスしてもらう。

 同庁は現在、今年度から5年間で取り組むプレコンの推進計画をまとめており、アドバイザーの養成を盛り込む方向だ。今後、アドバイザー向けのマニュアルも整備する。

 プレコンに詳しい国立成育医療研究センターの荒田尚子医師は、「若い世代が自分の体について知ることは、人生の選択肢を増やし、将来のリスクを減らすために重要だ。次の世代の健康にもつながる」と話している。

 ◆ プレコンセプションケア =妊娠(コンセプション)の前(プレ)のケアの意味。将来の妊娠を考えて女性やカップルが自身の健康や生活に向き合うことで、世界保健機関(WHO)が2013年に重要性などを文書でまとめた。政府は成育医療等基本方針で、「男女ともに性や妊娠に関する正しい知識を身につけ、健康管理を行うよう促す」と定めている。

スクラップ機能は読者会員限定です
(記事を保存)

使い方
速報ニュースを読む
注目ニュースランキングをみる
記事に関する報告
6490003 0 社会 2025/04/01 15:00:00 2025/04/01 15:00:00 2025/04/01 15:00:00 /media/2025/04/20250401-OYT1I50098-T.jpg?type=thumbnail

主要ニュース

おすすめ特集

読売新聞購読申し込みバナー

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)