「火災保険」災害頻発で保険料2倍に…長期契約の放置に潜むリスクとは
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全国的に大規模な山火事や住宅火災が頻発しており、改めて火災への備えをしっかりしておこうと思った人も多いのではないでしょうか。今回は火災保険を見直したり、新たに加入したりする際のポイントについてお話しします。
保険期間最長10年から5年に…その理由は

火災保険に加入する際のポイントをお伝えする前に、火災保険を取り巻く状況から簡単に説明します。
かつて火災保険は、住宅ローンの借入期間に合わせた長期契約が主流でしたが、自然災害の増加により、2015年10月、保険期間が最長36年から最長10年に改定されました。さらに22年10月には、最長5年に改定されています。
今年は、15年に火災保険に加入した人が10年の満期を迎える年になります。満期を迎えるに当たって更新を考えている人が多いと思いますが、そこでネックになってくるのが、「火災保険の保険料」です。
というのも、自然災害の多発で保険金の支払いが急増していることや、建築費・人件費の高騰などを背景に、火災保険料は値上がりしてきており、24年10月には全国平均で13%という大幅な値上げが実施されました。
また、豪雨など水災のリスクの高さに応じて、居住地域によって差がつく仕組みも導入されました。従来は水災に対する保険料は全国一律でしたが、水災リスクは地域によって大きく異なります。そこで市区町村別に、水災リスクが最も低くて保険料の安い「1等地」から、水災リスクが最も高くて保険料の高い「5等地」までの5段階に細分化されました。
このような改定により、火災保険を更新しようと考えると、仮に10年前と同じ条件で、今回最長5年契約での更新をする場合には、保険料の金額は約2倍程度になるようです。
そのためSNSなどを見ると、更新をためらってしまったり、火災保険への加入を控えようとしたりする人が増えている様子がうかがえます。
保険金額「時価」と「再調達価格」の違い
高額の保険料を気にして火災保険に加入しなかった場合、当然ですが、災害が起きて被害を受けた時には、全額自己負担しなくてはなりません。自然災害が多発している近年の状況を考えると、無保険というのは不安です。
また、かなり前に火災保険を長期契約して、そのまま継続しているという場合にも、注意が必要です。
現在、火災保険の保険金額は、建物の「再調達価額」で設定します。再調達価額とは、火災などで建物や家財が全損してしまった場合、その建物や家財を再建したり、新たに購入したりするのに必要な金額のことです。保険各社の算出方法に従って再調達価額は割り出され、その金額を保険金額に設定します。
一方で昔の火災保険は、保険金額が「時価」の契約である可能性が高いのです。時価とは、老朽化を加味した現状相当の金額を指します。建物を失った時点の再調達価額から経年劣化などによる消耗分を引いた金額が保険金額になるので、元通りに再建するのが難しいケースが多いでしょう。
最近、東北で起きた山火事など、大規模な被害に遭った場合、保険を時価で契約していたとすると、すべての損害をカバーできない可能性が高いといえます。
さらにインフレ傾向で建築資材が高騰したり、家族構成やライフプランなどが変化したりして、当初契約した保険金額や補償内容では不十分な場合もあります。
そこで重要になるのは、現在加入している火災保険の補償内容をしっかり理解したうえで、今の状況に合った適切な保険に加入することです。そして、保険料を抑えるためには、自分にとって必要な補償・不必要な補償を見極めること。これは火災保険に新規加入する場合にも重要なポイントです。
補償内容を見直す際のチェックポイント
とはいえ、そもそも自分にとって必要な補償はどんなものなのか、わからないという人も少なくないことでしょう。
火災保険を選ぶときに大切なのは、「自分が住んでいる地域の環境を考えて補償を選ぶこと」です。まずは、自治体が公表しているハザードマップを確認し、自分が住んでいる地域にどんな災害が起きやすいのかを把握して、その災害が起きたときにカバーできる補償を付けるようにしましょう。
近年は特に、台風などによる風災や豪雨などによる水災での保険金の支払いが多くなっているので、風災や水災の備えは入念にしておいたほうがよいでしょう。
反対に明らかに不要な補償は外すことも検討しましょう。たとえば、雪がめったに降らない地域なのに、「雪災」への補償が付いていても無駄でしょう。また、車の通りの少ない郊外ならば、「外部からの物体衝突」といった特約も不要なはずです。先ほども説明しましたように、火災保険料は値上がりが続いているので、必要な補償だけを過不足なく用意して保険料を節約しましょう。
なお、火災保険には、基本的に必要な補償がセットされている「パッケージタイプ」と、補償を自分で選択できる「自由設計タイプ」の二つがあります。自由設計タイプの方が必要な補償に絞れて保険料を抑えられます。
参考までに、火災保険の補償内容が十分かどうか確認するためのチェック方法として、三井住友海上火災保険が提供している「防災チェックサービス」を記載しておきますので、時間のあるときに確認してみてください。
<1>再調達価額基準で加入していますか?
→時価基準の場合、十分な補償を得られない場合があります。
<2>保険金額は適切に設定されていますか?
→インフレや材料価格高騰等の影響により、過去に設定した保険金額が不十分な場合があります。
<3>保険始期日が2010年1月以降の契約ですか?
→風水災リスクについて、保険種類(2009年12月に販売停止の住宅火災保険・住宅総合保険等)によっては、十分な補償を得られない場合があります。
→上記以外でも、長期間契約内容を見直していない場合は、現在の環境に合った適切な補償内容となっていない可能性があります。
<4>家財は補償されていますか?
→家財を一度に買い
→家財の補償をセットしていても、屋外(敷地内)にある家財は補償対象になっていないケースがあります。
<5>水災リスクは補償されていますか?
→過去10年間で、約98%の市町村が水災を経験しています。
→さらに、集中豪雨や台風による水災被害は増加傾向にあります(高台であっても内水氾濫の危険があります)。
<6>地震リスクは補償されていますか?
→地震保険金は使用用途を問わないため、被災後の生活再建に幅広く活用できます。
災害から自分や家族の身を守るため、火災保険の知識を身につけ、適切な保険に加入するようにしましょう。(ファイナンシャルプランナー 高山一恵)
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