サッカー・ワールドカップ、史上最速で出場決めた最終予選に見えた日本代表とライバルの差

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編集委員 川島健司

 サッカーの日本代表は3月20日に埼玉スタジアムで行われた2026年北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選C組第7節のバーレーン戦に2―0で勝利し、この時点で通算成績を6勝1分けの勝ち点19に伸ばして同組2位以内が確定。8大会連続8度目のW杯本大会出場を決めた。

ホスト国除けば一番乗り

3月20日のバーレーン戦に臨む日本代表イレブン。全員が欧州のクラブ所属の選手だった
3月20日のバーレーン戦に臨む日本代表イレブン。全員が欧州のクラブ所属の選手だった

 3試合を残しての予選突破決定は、これまでで最も速く、世界でもホスト国であるカナダ、米国、メキシコを除けば本大会切符獲得一番乗りとなった(出場を決めた記事は こちら )。5日後の第8節では、同会場でサウジアラビアと対戦して、0―0で引き分けたが同組1位を確定させた。この予選の戦いぶりを見ると、日本と、ライバルと目された他国との力関係が変わってきていることが見てとれる。

 2次予選を6戦全勝(不戦勝だった北朝鮮戦を含む)で危なげなく勝ち上がった日本は、最終予選で豪州、サウジアラビア、インドネシア、バーレーン、中国と同組になった。

 出場チーム数が従来の32から48に増えた影響で、今大会から、アジアの出場枠が従来の4.5から8.5にまで一気に拡大された。このため、組4位までに入れば本大会出場の可能性が残る予選方式になったとはいえ、組み合わせが決まった際には、豪州、サウジというW杯出場常連国と同組なのは厳しいのでは、と心配する向きもあった。

3月25日のサウジアラビア戦で、相手の攻撃をはね返す20歳の日本代表DF高井幸大。日本はサウジの攻撃をシュート1本に封じ込めた
3月25日のサウジアラビア戦で、相手の攻撃をはね返す20歳の日本代表DF高井幸大。日本はサウジの攻撃をシュート1本に封じ込めた

 過去のアジアからのW杯出場国を見てみると、日本が初出場を果たした1998年のフランス大会以降、前回カタール大会までの7大会で、延べ31か国が本大会へ進んだ。このうち豪州は06年ドイツ大会まではオセアニア連盟の所属で、アジアからは出ていない。

 31か国の内訳は日本と韓国が全7大会に出場。イランとサウジが各5回で、豪州が10年南アフリカ大会以降の4回、あとは中国と北朝鮮、22年大会ホスト国のカタールが各1回のみとなっている。ここ2大会は日本、韓国、イラン、サウジ、豪州と顔ぶれが変わっておらず、「5強」以外の国が勝ち抜くことは極めて難しかった。

 今回の予選でいうと、最終予選3組のうち、イランはA組、韓国はB組に入ったが、C組には残る3強が同居することになったため、最激戦区という見られ方をされたのも無理はない。

 だが、ふたを開けてみると、日本は7―0と大勝した初戦のホームでの中国戦から快進撃を続け、8試合で計24得点、失点はわずか2という圧倒的な強さを見せた。一方、豪州とサウジは、実力的には劣ると思われたインドネシアやバーレーンに予想外の苦戦。第6節を終えた時点で、日本が勝ち点16で独走する中、C組の残る5チームは、豪州が勝ち点7、あとはすべて6という大混戦になった。

逆転した豪州との立ち位置

 日本、豪州、サウジのここ最近のチーム構成を見ると、日本は3月の2連戦に招集した27人のうち、22人が欧州のクラブに所属している。これに対し、昨年10月に日本と対戦した豪州のメンバーには、国外のクラブでプレーする選手が21人いたが、うち2人はJリーグのクラブ所属。

昨年10月の日本―豪州戦。豪州MFブラッタン(左)は、国内リーグでプレーする選手だった(右は田中碧)
昨年10月の日本―豪州戦。豪州MFブラッタン(左)は、国内リーグでプレーする選手だった(右は田中碧)

 さらに詳しく見ると、欧州組でも、5大リーグといわれるイングランド、イタリア、スペイン、ドイツ、フランスの1部リーグでプレーしている選手が日本は15人に上るが、豪州は5人にすぎなかった。

 両国は、豪州がオセアニア連盟から出場した06年ドイツ大会の1次リーグで対戦し、日本は終盤の連続失点で1-3と悪夢の逆転負けを喫したが、この時の日本代表の欧州組は6人。中田英寿(ボルトン=イングランド)、稲本潤一(ウェストブロミッジ=同)、高原直泰(ハンブルガーSV=独)、大黒将志(グルノーブル=仏)、中村俊輔(セルティック=スコットランド)、中田浩二(バーゼル=スイス)という面々だった。

 一方、豪州には強豪リバプールに所属していた横浜F・マリノス前監督のハリー・キューエルをはじめイングランドのプレミアリーグでプレーしていた選手が7人。欧州組は計20人もいた。この約20年で、選手の経験値という意味では、日豪の立ち位置は逆転したといっていい。

海外勢の少ないサウジアラビア

 サウジはどうか。元々中東の国々では、家族とのつながりを大事にするイスラム教の影響もあって、外国のクラブでプレーする選手は多くないとされる。3月の来日メンバー24人のうち、欧州のクラブ所属は、横浜FCの鈴木武蔵がかつて所属したベールスホット(ベルギー)の2人と、フランス2部のダンケルク所属1人の計3人のみで、あとはすべてサウジ国内でプレーしている選手だ。

 サウジリーグのクラブといえば、近年では圧倒的な資金力にものをいわせてポルトガル代表のロナルドを総額2億ユーロ(約320億円)の報酬で獲得するなど、大物外国人選手が多いことで知られる。世界の超一流選手が身近にいることで、ある程度は貴重な経験が得られているだろうが、日常的に異文化の中に身を置くような状況にはない。

 その点、日本代表は主将の遠藤航ですら、プレミアリーグで首位を走るリバプールで先発メンバーになかなか入ることができず、欧州の高いレベルの中で、日夜必死のポジション争いを繰り広げている。

 クラブ間での移籍についても、カタール大会後にシュツットガルト(独)から遠藤がリバプールへ、伊藤洋輝がドイツ一の名門バイエルン・ミュンヘンへとステップアップし、上田綺世はベルギーのセルクル・ブルージュから、オランダの強豪フェイエノールト入り。

 田中碧はドイツ2部のデュッセルドルフからイングランドで2部にあたるチャンピオンシップのリーズに移籍したが、リーズは現在リーグ2位で来季はプレミアリーグ昇格が有力だ。

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