プリウス25年目の大胆イメチェン…開発陣の決断に豊田社長「このけんか、面白いね」
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トヨタ自動車は16日、新型「プリウス」を公開した。世界初の量産ハイブリッド車(HV)としてエコカー市場を先導してきたが、電気自動車(EV)などが脚光を浴びる中、燃費だけでなく、デザインや走りも磨き上げた車へとイメージの転換を図る。「25歳」を迎えたプリウス開発の舞台裏に迫った。(山本貴徳)
開拓者

1997年にデビューしたプリウスの名前の由来はラテン語の「開拓者」だ。エンジンとモーターを併用して走り、ガソリン1リットルあたりの走行距離は、それまでの車の約2倍という圧倒的な燃費の良さを誇った。当時のキャッチコピーは「21世紀に間に合いました」だった。

プリウスが切り開いたHV市場は、世界的な脱炭素化も追い風となって拡大した。初代プリウスから数えて、トヨタのHVの累計販売は2030万台にのぼる。排出される二酸化炭素(CO2)は1億6200万トン減らした計算になる。
トヨタのデザイン統括部長を務めるサイモン・ハンフリーズ氏は「プリウスの最大の功績は数字ではなく、ガソリンやディーゼルに代わる現実的な選択肢を広めたことにある」と指摘する。
HVの価値が広く知られるようになり、トヨタのHVは「カローラ」「ヤリス」など主力車種で増えていった。トヨタが2021年に販売したHVは248万台で、4台に1台がHVだった。
「タクシー専用」
トヨタは電動車を、EVや水素を燃料とする燃料電池車(FCV)も含めて「全方位」で開発を進める方針だ。豊田章男社長はプリウスを「どうしても残さないといけないクルマだ」とこだわった。
EVが注目される中で、プリウスをどう生まれ変わらせるか――。社内では激論が交わされた。
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