ネット犯罪グループの手口にセキュリティー業界騒然…ウイルス感染させる「標的」、AIが自動収集
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[AI近未来]第2部 膨らむリスク<5>
今年2月、インターネット上に流出した犯罪グループのやり取りに世界のセキュリティー業界は騒然となった。

<連絡先を様々な場所から集める必要がある。メールと電話用。一番だまされやすい人を見つけるのがいい>
<新しいGPTでこれらは全て自動化される>
情報漏えいによって明るみに出た犯罪の手口。ほぼロシア語で、その量は約134万行にも及んだ。
セキュリティー会社「三井物産セキュアディレクション」(東京)の上級マルウェア解析技術者・吉川孝志氏が分析したところ、身代金要求型ウイルス「ランサムウェア」を用いるハッカー集団が対話型生成AI(人工知能)サービス「チャットGPT」などを使い、個人情報を盗み取ったり、ウイルスに感染させたりするメールを送るため、SNS上のメールアドレスを自動収集していることがうかがえるという。

標的とする企業や団体などの送付先が多いほど、サイバー攻撃の成功率は高まる。吉川氏は「これほど犯罪グループの内情が明らかになることは珍しい。より効率的に攻撃するため、AIを活用しているようだ」と話す。
チャットGPTの登場は2022年秋。2年半足らずで、生成AIは世界に急速に普及した。業務の効率化に資するAIが今や、犯罪グループにも当たり前のように利用される時代が到来している。
吉川氏は「将来、様々な方法でウイルスにAIが組み込まれ、自律的に攻撃を仕掛ける事態も生じるおそれがある」と警告する。