[国際女性デー2025]「はて?」 異議や疑問を声に…「虎に翼」脚本家・吉田恵里香さんと語る
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誰もが生きやすい多様性のある社会を考えるイベントが3月、東京・大手町の読売新聞東京本社で開催された。

女性の権利向上や差別撤廃を目指し、国連が3月8日を「国際女性デー」と定めてから今年で50年の節目を迎えたことを機に企画。優れたテレビドラマの脚本家に贈られる第40回向田邦子賞を受賞するなど活躍中の吉田さんを招き、会場とオンラインで計約80人が参加した。
「虎に翼」の主人公のモデルである
今回のイベントでは、ドラマで主人公が異議や疑問を感じたときに発した言葉「はて?」にちなみ、疑問を感じた体験談を事前に参加者から募集。様々な声が寄せられた。
40代の女性会社員は「職場の飲み会で『今日、お子さんは?』と聞かれるので、男性たちに『今日お子さんは? 奥さんとお留守番? 偉いね』と言い返します」。吉田さんは「そういうことを言う人は悪意がないのが問題。私も言い返すようにしていますよ」と応えた。
「はて?」と感じた際に吉田さんがどんな行動をとるか問われ、「真顔で黙って目を大きく開いて未知のものを見るように相手を見る」と回答。会場は笑いに包まれたが、重要なのは「受け流さないこと」と吉田さんは強調した。「笑わない、うなずかない、沈黙してみる。未来の自分、未来の誰かのために『はて?』ということで踏みとどまれることがあるはずです」と呼びかけた。
会場で参加した東京都杉並区の小学校英語助手、杉原弘子さん(68)は「ドラマでは笑いも取り入れながら、主人公の戦う姿を見せてもらった」と笑顔。自身も企業で働いていた頃に妊娠が判明して閑職に追われた経験があるといい、「諦めず声を出していれば社会が変わっていくと感じる」と話した。
親子で参加した千葉県君津市の農業、下田裕子さん(55)は「これっていいのかな?と思ったら表明することが大切だと感じた」、娘の高校2年、斗南さん(16)は「悪意はないが、女性だからという理由の発言を受けたことはある。相手の立場に寄り添える人になりたい」と話した。
過去紙面をパネル展示

会場には、今年の国際女性デーに合わせて掲載した記事などをパネルで展示した。日刊紙初の本格的な女性向け紙面として1914年(大正3年)に誕生し、現在のくらし家庭面の前身となった「よみうり婦人付録」も紹介。来場した参加者が熱心に読んでいた。
茨城県かすみがうら市の会社員、太田志津子さん(65)は「記事を読みながら、自分のキャリアの歩みについても考えさせられた」と話していた。