「夢」を映像化・思い浮かべた漢字を感知…脳と外部機器を接続する研究、中国が猛進
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[AI近未来]第2部 膨らむリスク<2>
濃緑の木々に囲まれた細い一本道を、2人が寄り添って歩いていく。そんな短い動画がスマートフォンに映し出された。

「昨晩寝ている時に私が見た夢が再現されています」。中国・北京のベンチャー企業「脳姫科技」の販売担当者、周卓さん(41)は笑みを見せた。晩秋に友人とハイキングする場面という。
「一瞬の断片も朝の日差しとともに消えず、永遠に残せる」。同社は3月末、そう銘打ったヘッドギア式の機器「ドリームギア(中国語名=絵夢儀)」を発売した。1台4599元(約9万5000円)で、内側にある10個の高感度センサーが睡眠中の脳内を読み取る。血流や脳波の変化といった膨大なデータから、生成AI(人工知能)が「夢」を映像化する仕組みだと説明する。

従来、こうした機械学習は気が遠くなるほどの時間と手間を要したが、AIの登場で格段にスピードアップしたという。まだ技術的に夢のかけら程度しか再現できないとみられるものの、周さんは「悪い夢は忘れていく。美しい夢を残せばみんな幸せになれる」と語る。
人間の脳と外部の機器を接続する研究は「ブレーン・マシン・インターフェース(BMI)」と呼ばれ、中国は世界最先端を走る。筋
浙江大学の研究チームは昨年4月、体に重い障害を持つ男性がロボットアームを使って漢字を書く実験に成功した。どんな漢字を思い浮かべたか、頭の中に埋め込んだセンサーにより感知する仕組みで、常用漢字100文字の正解率は96%に達したという。
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