トランプ関税、計算式にシカゴ大・ニーマン教授「まったくの間違い」…貿易赤字額を輸入額で割った単純な割り算
完了しました
米トランプ政権が発表した「相互関税」の税率を巡り、算出方法への批判が高まっている。米通商代表部(USTR)が発表した計算式には複数のギリシャ文字が含まれ、難解そうに見えるが、有識者によると、貿易赤字額を輸入額で割った単純な割り算だといい、「まったくの間違いだ」との指摘が相次いでいる。
USTRが示した相互関税の計算式のうち、上半分の「分子」にあたる部分は、米国からある国への輸出額()から輸入額(m)を引いたもので、貿易赤字額になる。

下半分の「分母」にあたる部分には二つのギリシャ文字が含まれるが、USTRの説明に従って二つを掛け合わせると「1」になる。結果として分母は輸入額(m)そのものとなる。
例えば、米国の2024年の対日貿易赤字額685億ドルを輸入額の1482億ドルで割って100をかけると、トランプ政権が日本から課されていると主張する46%程度になる。日本への相互関税率はその約半分の24%と設定された。
米シカゴ大学のブレント・ニーマン教授は7日の米紙ニューヨーク・タイムズへの寄稿で「まったくの間違いだ」と計算方法を批判した。ニーマン氏は「私たちの研究によれば、算出される税率は大幅に縮小されるべきだ」と主張し、トランプ政権が自身の論文をずさんに引用した可能性に言及した。

米政策研究機関のアメリカン・エンタープライズ研究所の計算でも、相互関税の実際の税率は発表された数字の約4分の1になるという。
ノーベル賞経済学者のポール・クルーグマン氏は3日、「USTRの発表は、まるで試験勉強もせずにごまかしで試験を乗り切ろうとしている学生が書いたかのようだ」と酷評した。(ニューヨーク支局 小林泰裕)