空港ビル利益供与、子会社幹部「監査に知られるので騒がないでほしい」と事業者に求める

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 羽田空港ターミナルビルのマッサージチェア(MC)事業を巡る利益供与疑惑で、「日本空港ビルデング」(東証プライム上場、東京)子会社幹部が2023年、当時契約していたMC事業者に対し、東京都内のコンサルティング会社への利益供与について「監査に知られるので騒がないでほしい」などと求めていたことがわかった。業務執行が適正かどうかをチェックする監査等委員会に、コンサル会社との関係が発覚しないよう説得を試みたとみられる。

日本空港ビルデングの本社が入る羽田空港第1ターミナルビル
日本空港ビルデングの本社が入る羽田空港第1ターミナルビル

 この疑惑では、100%子会社「ビッグウイング」(東京)から古賀誠・元自民党幹事長(84)の長男(52)が営むコンサル会社に、20年までの約10年間で総額2億円近くが渡っていたことが判明。空港ビル社の横田信秋社長兼COO(最高執行責任者)(73)が21年、コンサル会社への利益供与をMC販売会社側に求めていたこともわかっている。

 関係者や本紙が入手した資料によると、ビッグ社幹部は23年9月頃、MC販売会社の幹部と契約に関する交渉中、コンサル会社との関係に言及。利益供与を求めたことなどについて、「騒がないでくれよ」と発言したほか、空港ビル社の監査等委員会に発覚した場合に「上に迷惑がかかる」と懸念を示したという。契約は昨年11月まで続いた。

 空港ビル社は3日、取引の実態などに関し、監査等委員会を主体に調査していると発表。「結果は速やかに公表する」とした。ビッグ社幹部の発言などについての取材には、「調査を実施しており、お答えを差し控える」とした。

 上村達男・早稲田大名誉教授(会社法)の話「会社法で権限を与えられている監査等委員の正当な職務を妨げる行為で、グループの内部統制が機能していないと言える。空港ビル社は会社を挙げて内部監査部門の強化を進める必要がある」

国交省、調査結果踏まえ対応

 中野国土交通相は4日の衆院国交委員会で、空港ビル社の調査結果を踏まえ、国交省として対応を取る方針を示し、「空港の事業者には高い公益性が求められる。国民や利用者の信頼を損なわないよう事業を実施する必要がある」と述べた。

 国交省幹部は質疑で、空港ビル社に横田氏と長男の交渉の有無を尋ねたが、同社から回答が得られなかったと説明した。立憲民主党の谷田川元議員は、横田氏の参考人招致を求めた。

 ◆ 監査等委員会 =監査等委員会設置会社は2015年施行の改正会社法で導入された企業形態。3人以上の委員で構成し、過半数は社外取締役で占めると定める。大手企業でも、外部からのチェック機能強化などを目的として移行する動きが出ている。

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